しあわせメンタリスト
超実現コーチの奈良有樹です。
今回もサッカーW杯に関連して書いてみます。
日本代表は無事グループリーグを突破して
決勝トーナメントに進出しました。
この原稿を書いている時点ではまだ決勝トーナメントの試合は行われていません。
前回の記事で書いたゴールキーパーの川島選手については
これまでの批判を吹き飛ばすような素晴らしいプレーをされました。
関連記事:あのパンチングはなぜだったのか?能力や資質ではなく、結果を決めているたったひとつのもの
前回書いた通り、日本代表に選ばれるクラスの選手にとって
結果を決めているのは能力や資質ではなく、マインドです。
マインドこそがパフォーマンスを発揮するために最も重要な要素であることが今回の件で非常にわかりやすく感じられたと思います。
そして、もう一つ、話題となっているのが対ポーランド戦での日本代表の後半最後の10分間のプレイですね。
1点負けているにもかかわらず、攻めることなく、ボール回しを続けたことに対して、場内では大きなブーイングが起きました。
そして、試合終了後、監督も選手も、大きな喜びを表現することなく、ファンに謝罪の言葉を述べる事態になりました。
日本代表のポーランド戦での最後の10分間
これについては賛否両論、沢山の議論が交わされていますが、
どちらが正しいと一概に言えるものではないと考えます。
何故ならばあのプレーが良かったのか悪かったのかはすべてゴール(目標)設定次第だからです。
サッカー日本代表にとってのゴールをどのように考えるかで、この問題の見え方は変わってきます。
例えば、
・とにかく決勝トーナメントに進出し、結果を出すことが大事である。
というゴールを設定してこの問題を観るならば、
結果としてゴールを達成したわけですから、最善の判断だと言えます。
しかし、
・常に正々堂々と全力プレーで未来を切り開く日本代表として世界中のサッカーファンを感動させている。
というゴールを設定しているならば、会場から大きなブーイングを受けるような試合を日本代表チームが展開し、
決勝トーナメントに進出したにもかかわらず選手も監督も不本意な表情を浮かべている状況を肯定することはできないでしょう。
どちらが良いか悪いかというよりも自分自身がサッカーに対してどのようなゴールを持っているかという信念の問題なのです。
どちらの意見も、その方の信念から見れば正しいものであり、そこを議論しても答えは見つかりません。
そこで、視点を少し変えて、これを人間のマインドの問題として眺めてみると、面白いことが見えてきます。
人は最善ではない選択をするようにできている!?
ポイントは
「あのボール回しは、100%決勝トーナメントに行ける策では無かった」
ということです。
もしあの時、別の会場でセネガル代表がゴールを挙げてしまえば、日本の敗退が決まってしまう可能性がある状況でした。
すなわち、この選択は必ずしも安全な策ではなく、大きなリスクを内包していたのです。
考えられる可能性は以下の通りです。
・全力で試合を続行した結果、同点に追いつき自力で決勝トーナメントに進出。
・全力で試合を続行した結果、そのまま試合終了し、決勝トーナメントに進出。
・全力で試合を続行した結果、逆に点を奪われるかイエローカード、レッドカードをもらいセネガルに抜かれ敗退。
・試合を捨ててボール回しに終始し、セネガル対コロンビア戦が0-1のまま終わり決勝に進出。
・試合を捨ててボール回しに終始し、セネガル対コロンビア戦が1-1になったため、自動的に敗退が決定。
これを見てわかる通り、日本にはあの時、自力で決勝トーナメントに進むチャンスがありました。
それは同点に追いつくことです。
同点に追いつくことができれば100%確実に決勝トーナメントに進むことができたんです。
選手たちを信じて、残り時間全力でプレーし、もし、同点に追いついていれば、問答無用で決勝トーナメントに進出し、日本はもちろん、世界中のサッカーファンから称賛されたことでしょう。
これこそ、最高の結果だったことは議論の余地はありません。
なおかつ、同点を狙いにいって、仮に同点にはならなかったとしても、それで直ちに敗退が決定する状況ではありませんでした。
ポーランドに点を取られたり、イエローカードをもらわなければ、同じように決勝トーナメントに進出していましたし、ブーイングされる必要もなかったのです。
こうして冷静に分析すれば、選択肢はいくつかあり、どれにもリスクがあったことが分かります。
あとはそれをどう評価し、どう選択するかの問題です。
その中で、西野監督は試合を捨ててセネガルの結果に委ねる選択をしました。
いつも選手たちを信頼し、決断をしてきた西野監督が、
選手たちが同点に追いつくのは難しいと判断したことには驚きがあります。
なぜこのような決断に至ったのか?
実はこの決断は監督が心から選びたくて選んだものではなく、
脳の仕組みによって選ばされてしまった決断だった可能性があります。
事実、監督自身が試合後にこの決断は本意ではなかったと語り、翌日には選手に謝罪まで行っています。
本当は別の選択をしたかったのに、この選択をせずにいられなった。
実はこのような決断は私たちの人生の中でも日々起きているます。
自分自身の心から望む最高の結果ではない選択を、「仕方ない、今の状況ではこれが最良の選択」だと考えて、選択していることはありませんか?
最高の結果を求めるのではなく、それ以外の選択肢を選んでしまっているということです。
それは私たちの意識を超えて、脳の仕組みによって行われています。
人は追い詰められると可能性を公平に評価できない!
私たちは追い詰められた状況では、最悪の結果を過大評価し、最高の結果を出す可能性を過小評価する性質があります。
これは動物が生存していくための機能です。
この機能によって危険を回避し、子孫を残して種族を反映しようとするのです。
しかし、古代に比べて遥かに安全になった現代の人類にとって、この機能はもろ刃の剣でもあります。
最高の結果を得る手段を自分から放棄してしまうからです。
もし、あのプレーを選ばなかったとすれば、
得られたものは沢山ありました。
・現地のファンからの好意的な応援
ブーイングを浴びることなく、決勝トーナメントでも大きな声援で後押ししてくれたでしょう。
・世界のメディアからの肯定的な評価
それまでのゴミを拾うサポーターや最も少ない警告数などの情報から、日本代表はフェアプレー精神を持ったチームとの評価を高めていたでしょう。
・日本のファンからの絶大な声援
賛否両論起きることなく、サポーターと選手が一体となって強烈な盛り上がりの中で決勝トーナメントに向かっていったことでしょう。
・選手達の士気と監督への信頼感
最後まで選手を信じて攻める姿勢を貫いていたら、チームはより一つになって、高い士気で決勝トーナメントを戦えたことでしょう。もちろん、それを立て直す手立てを西野監督はするでしょうが、自分たちの能力よりもセネガルの結果に委ねた采配が選手と監督の信頼関係に与える影響は無視できません。
しかし、これら多くのメリットを手に入れられることよりも、
あのままやっていたら、最悪の結果につながる可能性が高い。
という考えが、西野監督の頭の中で支配的になったからこそ、このような決断に至ったはずです。
本当に日本代表チームの選手には自力で決勝トーナメント進出を決める実力がなかったのでしょうか?
あのままやっていたら、すでに敗退の決まっているやる気のないポーランドに本当に追加点を奪われてしまったり、イエローカードやレッドカードをもらっていたのでしょうか?
確かなことは、
最終ラインでパス回しをはじめてしまったら最後、
絶対に奇跡の同点ゴールも、自力での決勝トーナメント確定も得ることはできなくなってしまいます。
その最高の結果を得る可能性を捨ててしまうということです。
それが正しい判断なのかどうか?
良く考える必要があります。
そのような判断をするためにはゴール設定が非常に重要です。
西野監督にとっては決勝トーナメントに進出するということが大きなゴールに設定されていたのでしょう。
である以上、その判断は正しいといえるかもしれません。
しかし、もっと高いゴールを持っていたら、違う判断の方がより正しいといえるかもしれません。
だからこそ、この議論はゴール設定次第ということになります。
私たちの人生もゴール設定次第です。
あなたが心から望む本当にやりたいゴールを持っていて、
脳にそれがインストールできているならば、
このような状況でそのゴールに向かう判断をすることができます。
私たちコーチはそのためのお手伝いを徹底的に行います。
だからこそ、クライアントの皆さんはゴールに向かって突き進むことができます。
そうでなければ、
人間が動物として持っている習性に基づき、より慎重な判断が自動的に選択されます。
それは最悪の結果をより重視し、最高の結果の可能性をより低く見積もった判断となります。
その結果、妥協的な結果が生み出されます。それはあなたが心から望んだ未来ではありません。
日本のメーカーが現状の中で最良の製品を作り続けた中で、
現状を超える製品を投入し、一気に抜き去ったAppleのiphoneやipadは、
まさに現状を超えるゴールを設定して、最高の結果を求めたが故に生み出された製品です。
だからこそ社会に大きな変化をもたすことができました。
あなたの人生も同じです。
常に最高の選択よりも現状維持を選択する習性の中で生きていれば、あなたが心から望むゴールを達成することは難しいでしょう。
本当のあなたにはもっと沢山の可能性があり、そのための能力も持って生まれてきているんです。
日本代表チームが、監督も選手も最高の笑顔で、ファンからも称賛されて決勝トーナメントに進む道を捨ててしまったように、
あなた自身も最高の人生を生きる道を、リスクの過大評価によって捨ててしまうかもしれない。
でも、そうではない選択肢を選ぶことも可能です。
あなたにはそのチャンスがまだまだたくさんあるのです。
私自身も自分自身をコーチングすることによってそれを実現してきました。
それが故にプロのコーチになったのです。
そして、多くのクライアントさんもそれを実現し、証明してくれています。
皆さんにもそれはできます。
W杯サッカーのような極限の戦いの場はまさに私たちの人生の縮図として、多くの学びを与えてくれます。
日本代表にも、これからの活躍で未来を最高のものにするチャンスは残っています。
残りの期間も、前向きに応援しながら、人間のマインドの動きも楽しみつつ選手たちを応援しましょう。
ゴール設定について学びたくなったら、
ぜひ、下記のセミナーなどの機会を活用してください。
皆さんが心から望まれる人生を歩まれることをいつも応援しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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